発達段階ごとコーチングのポイント(コーチ向け記事)

成人の意識の発達理論に沿って、各発達段階向けのコーチングのポイントを実験的にまとめてみました。

発達理論の見立てをもとにコーチングを行ってきた、実践での経験と知識と照らし合わせたものではありますが、人の心が全て理論に当てはまるわけではなく、環境や資質、その場の文脈などによっても、その方のテーマや反応は変わってきます。

ということをお伝えしつつ、コーチ、人材支援の方は関わり方のご参考になれば幸いです。「なぜそのコーチングうまくいかないの?」のヒントになるかもしれません。
同じ「コーチング」といえども、段階の見立てが違えばポイントやアプローチはずいぶん変わってくるものです!
発達段階2(道具主義的段階・自己中心的段階→他者依存段階へ向けて)

●自分にとって損か得か、安全をいかに確保できるか、のような発想が、テーマの背景にあることが多い。その世界観の目線にたち、不安に気づき、距離をとって見つめられる支援ができるとかなり良い。

●〇〇になったらおしまい、出世が一番とか、極端な世界観のことが多く、そのフィルターを信じ込んでいるため引きずられがちであるし、コーチを役割を超えた存在(友人のように・・とか)確保しようという傾向があるので、常にコーチがそこから距離をとれていて客観的な視点を持ち続けることが大事。

●パーソナリティ障害的な傾向の方への支援法は参考になると思う。あまり不安などシャドーに深く入っていくような支援(プロセスコーチングなど)は、二文法的な世界観の分断や不安定さを助長する可能性がある。少しでも、「客観的」「社会的」になれている部分があれば、その部分と関わっていく、伸ばす(神田橋篠治先生の「お饅頭と皮」理論でいう、皮の支援)。シャドーに関わる必要があるなら、できるだけセラピーの専門家へ任せるとよいと思う。

●他人の視点に立つことが課題なので、コーチがラポールの土台のうえで「私ならこう思うけどな」など、セッションの中で他者の視点や客観的な視点を伝える、それを聞いてどう思うか、という視点を広げる、セッション内でのトレーニング的なことも支援になる。

●今の課題について、客観的な視点からのフィードバックを心がける。具体的な行動を促す、勇気づける。そこから振り返って新しい視点を得ていくということを地道に積み重ねてゆくこと。「具体的な現実からのフィードバック」が最も役立つ。これを重ねることで、世界観をコーチの支援をもとに破壊・再構築してゆく助けになる。

●ペルソナやモデリングをうまく使って、自分自身のエゴ的なところから少し切り離してゆく、外側に合わせてゆくことを試してみることも役立つと思う。

●二分法的な発想なので、クライアントにとってのコーチのイメージがネガティブなものに転化すると、とたんに支援から遠のいてしまう可能性が高まる。コーチに対しての陽性転移があれば、それを活用することは有効ではないかと思う。

●失敗や成功の体験を積んでゆくこと。そこから学ぶことを支援することが大事。3に引きがる際の葛藤が起きていれば葛藤を直面し3に開けてゆくことを視野にいれた支援、葛藤が起きていなければ、現在の2を思い切りやりきることを支援するという視点も大事。

発達段階3(他者依存段階→自己主導段階へむけて)

●内面化された他者(想像上の他者)からの評価に縛られているため、内面化した他者、内的批判者との関係性をよくしてゆくことや、関係性を客体化し、距離をとって見られるようになることが助けになる(テーマによっては交流分析的なアプローチ、エンプティチェアやバイロン・ケイティワークのようなアプローチなども効果的)。

こういう自分とこういう自分がいるよね・・という自分の内側の関係性を明らかにしてゆき、客体化する、距離をとってみられるようになることで、未分化になっている自己と他者の分化にも役立つ。

●他者から承認されたい自分に、セッション内でしっかりと承認を与えてゆくということもケースによっては効果的。承認欲求を満たしつつも距離を取っていく方向で。

●また、発言に正誤を気にしたりコーチの評価が影響を及ぼしてしまう可能性が高いので、何を言っても評価されない空気感を作り出すこと。時間がかかっても、また、まとまっていなくても、極端でもいいから自分の中にある感覚に気づいたり、勇気をもって、自分のペースで、クライアント自身の言葉で言語化してゆく(内省できない、感覚を言葉にできにくいときはコーチの代理内省~コーチがクライアントの代わりに(ともに)内省したものを言語化して返す~が役立つ)、それを認知し励ます助けをすることが、外から内側へ意識を向けなおしてゆくために非常に役だつ。とにかく「主体性」の芽を潰さず、伸ばすこと。

●フォーカシング的な手法等を使いながら、体の感覚を感じ取ったりイメージ化、言語化してゆくことも、4に向けての支援になる。感覚にアクセスできる状態なら、フルフィルメントコーチングは価値観の萌芽を育てる意味でかなり有効。

●自分なりの持論が語れるようになれば、その持論に寄り添い、それに従って行動を起こしてゆくことを支援する。やってみてどうだったかを、コーチが一緒に省みることを支援することで、徐々にクライアント自身が観察自己を育みつつ内省する力が養われる。

●本当の持論か、借り物の持論かは・・聴き耳を立てておくポイント。その言葉が、どこから出てるように聴こえるのか?聴いていて、どう響いてくるのか?が手掛かりになる。

発達段階4:(自己主導段階→相互発達段階へむけて)

●価値観に寄り添う。価値観を語り、ビジョンをともに描き出す関わり。それに向かって行動してゆくことを勇気づける。とにかく行動、リフレクション、概念化、仮説、行動・・・のサイクル。

●価値観のもとになっている源を深堀してゆく、どんな人生を送ってゆきたいのか、使命に生きるとはどういうことかを語ってもらうこと。実際にそれを人生の中で生きる、を支援してゆく。自分自身の人生をリードしてゆくことに寄り添う。常に価値観や、本質に立ち戻る、深め続ける、練り上げてゆく。

●体感覚も意識できつつあるので、より体や情動に開けてゆく、より自分自身とつながってゆくことを支援する。プロセスコーチングやフォーカシング。体の感覚も含めた統合的な知性へ。

●徐々に、個人の内面、外面、集団の内面、外面それぞれに視点を広げ、バランスよく気づいていくことを支援してゆく。

●価値観で進むことについて、他者との間や現実との間での葛藤が生まれて来たら、価値観から距離をとってゆくような、その限界に徐々に気づいていく手助けをしてゆく(他者に耳を傾けてゆく、他者の価値観に深く気づいてゆく、複数のコンテクストをみられるようになる、時間軸も含め、さらに広い全体を俯瞰できるようになる、など)、価値観に抵触するような状況に直面し葛藤してゆくなかでは、価値観の限界を受け入れていくチャンスと見、弱さを受け入れ、さらけ出す、人に助けを得てゆくことを自らにゆるしてゆく力が芽生えてゆくのをコーチが支援するとよいと思う。

●観察自己をさらに研ぎ澄ませてゆくこと。微細な感覚を感じ取って言葉にしてゆくことを支援する。それによって、認知構造がさらに緻密に高度なものになってゆく。

 

※本まとめは、あくまでもコーチング活動上での個人の経験を基に、発達理論を照らし合わせつつ参考のためまとめたものです。学術的に正確な情報ではないことも含まれている可能性がありますことを、くれぐれもご了承くださいませ。

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